Archive for September 20th, 2017

グレイシー・ゴールドの不調と休養と、ローリー・ニコルの罪

アメリカのグレイシーゴールドが、休養するそうですね。 まあ、引退ではないので、よくあることなのかなあ、とは、思いますが… これについての、田村明子さんの記事。   グレイシーの休養については、報道や本人の言葉なんかで、不調と体重増加への悩みである、というらしいことは知ってはいました。 彼女に関しては、私も、ちょこちょこ記事にしてきていますし、確かに、彼女の体重の増加による演技への影響は感じていました。 具体的には、ジャンプの重さ、演技動作の重さ、ですね。 実際、昨シーズンは、非常にジャンプが決まらず、ですから自ずと、得点は伸びず、成績は悪いです。 不調の原因は、上の記事にあるように、2016ワールドのフリーでのジャンプ失敗によるトラウマが原因かもしれませんし、体重の増加なのかもしれません。 でも私はそれに加え、ここ数シーズンの振付に問題があると思っています。 彼女の振付は、ここ3シーズン、ローリーニコル、しかも、ショート、フリーともに。 誰かと一緒。笑 それにここ2シーズンのフリーは純クラシック。しかも、チャイコフスキーとかフィギュアでも馴染みのある明るい曲でなくシリアスな曲で、しかもアレンジしたものを使うのではなく、原曲そのまま。 しかも、ニコルの振付は、グレイシーには合わない。 浅田選手の記事のときにも書いてきましたが、ニコルの振付は、選手に負担を強いる振付で、神経質で細かく、実際に演じる生の選手自身に寄り添っていない、ある意味自分勝手な振付、だと思っています。 だから、グレイシーがニコルの振付に変わったシーズンから、彼女の演技変わりました。プログラム、振付が変わったんだから、と言うよりも、個性が変わった、というか、それまであった、グレイシーの個性がなくなった。 彼女の今まで持っていた良さ、長所、がなくなった。 彼女の演技は、2012の頃なんかは、とにかくジャンプが素晴らしく、冒頭の3Lz+3Tのルッツの飛距離と言ったら… 今現役選手の中でも、あれだけのジャンプ跳べる選手はいないだろうというくらいです。 でもそれだけでなく、アメリカ人特有の、 間接が硬いような、動作が大雑把で不器用な感じ、はあるんですが、その中でも彼女は、腕や手の動きがしなやかで、音楽に乗りながらも愛らしい表現が魅力だったんですが、ニコルの振付、プログラムで、それらは完全になくなりました。 次の2つは、2012/2013シーズンと、2013/2014シーズンの全米選手権のフリー。 特に、下の2012/2013シーズンの、冒頭のルッツの飛距離が凄いです。 この頃、本当に演技が、生き生きしてましたね…   そしてここから3年間、ニコルの振付です。 見てのとおり、この1年間で、彼女ここで体形の変化ありました。 このシーズンは、それでも、冒頭のコンボ見てわかりますが、回転も速く、体重増加の影響はまだ少ないと思います。 でも、見るからに動きが硬く、それまであった腕や手のしなやかさが、なくなっています。 といいますか、今まで持っていた彼女の魅力が発揮できないような細かでどうでもいいような振りやポーズが多すぎですよね。 恐らく振付のトレーニングの中で、グレーシーはニコルから、ここはああだ、ここはこうしろ、と散々細かく指示を受け、頭に身体に覚えさせて、やっと演技としてまとめてきた、って感じではないでしょうか。 私には、この演技、全然音楽に乗っていない、音楽の起伏とは関係なく、ただ振付をこなすだけ、に見えてしまって、グレイシーは全然楽しんでいないように見えます。 笑顔がない… 2年前にはあった生き生きとしたグレイシーはもうそこにはいなくなっています。   そして、ロシアの作曲家ストラヴィンスキー作曲のバレエ音楽「火の鳥」と、フランスの作曲家ラヴェル作曲のバレエ音楽「ダフニスとクロエ」… 火の鳥はまだいいでしょう。 コンセプトがハッキリしていますし、実際のバレエでも上演される機会はあります。   でも、ダフニスとクロエは、実際のバレエでさえそんなにやらないバレエですから、それをフィギュアスケートでやる、なんてのは、全くニコルの個人的趣味、追求、振付師としての箔付け、にすぎないでしょうね。 選手のことを思ったら、こんな音楽選ばないですよ。   しかも、体重増加で、選手がジャンプに苦労しているというのに、相変わらず、こまごまと、思い付きを羅列したような、どうでもいい振り、ポーズのオンパレードに振り回されて、グレイシーの演技は、全くここ数年、味気なく、無表情で、ロボットのよう。 本来の彼女は、こんな演技するような選手ではありません。   彼女の不調の原因は色々あるかもしれません。 しかし、こうして、体形変化の前後の演技を観てわかりますが、即ジャンプに影響したわけではありませんし、彼女の演技動作も重くはなっていますが、成績だって悪くないし、それほど深刻のものとは思えません。 確かに、今回の彼女の「休養」は、体重管理の悩みや、コーチの問題、父親の問題は大きいとは思いますが、昨シーズンの極端な不調は、これまでの蓄積から来ているものでしょうし、それが単に体重がそれまでよりより増えたから、と言うものではないでしょう。 少なくとも、ここにきての極端な不調と休養と言う選択にいたるまでのここ数年間は、スケートが彼女を救うことは出来なかった、ってことですね。 それが振付、ニコルが原因、とは言い切ることは出来ませんがニコルが振付けてから、彼女の演技が変わった、彼女の演技に、今まで彼女が持っていた魅力がなくなった、のは事実です。 まあ、振付師を選ぶのも、選手の意思でしょうから、グレイシーも承知でニコルの振付を3年も、ショートもフリーも、依頼しているわけですから、まあ、私が感じた演技の変化なんてのは、本人はあまり感じていないのかもしれません。 でも、だからと言って全く問題ない、選手がいいんだから、いいんだ、と言うことには、ならないでしょうね… 彼女はもっと単純に、フィギュアスケートを楽しめばよかったんです。 ジャンプを軸に、難しく考えず、いろんな曲を楽しく… その機会を彼女から奪ったのが、ローリー・ニコルですよ。 そういう意味では、ニコルの罪は、重いです。 […]

Wednesday, September 20th, 2017