バルビローリはこのブログでは2回目の登場になります。 前回は、 マーラー特集で2番の演奏を聴いたかと思いますが、こういうブラームスを聴くと、やはりバルビローリは地味だなと、再確認しました。演奏は素晴らしいですし、この指揮者にしかできない名演が多いですが・・・地味なんですね・・笑 それは渋いとはまた違うようで、華がないとまでは言いませんが(そもそも演奏に華が必要かどうかも疑問ですが・・)、作品にそれ以上の何かを付加してより大きく見せるような事はしていません。ドイツ的でもありませんし・・ と、ここまで書いて、マーラーの時の私の記事を読み返しまして、ああ、そうだったと納得しましたので再掲します。 2011年5月18日掲載 “バルビローリはどうでしたでしょうか。 これは、マーラーの「復活」としては、実はなかなかの名演なのではないでしょうか。 マーラーの交響曲の中でも、復活はとてもポップな曲で、曲中サビのような箇所がいくつもあって、そこを華やかにビシッと決めてくれると人気が出やすいんですが、バルビローリの演奏は、そういうところがほとんどないです。 演奏は常にフラット(平ら)で、その精神は常にフラット(b)で、エネルギーを内に内に凝縮していく中で、何ともいえない重く鈍い緊張感の中で演奏が行われています。 それがバルビローリの唸り声とともに崩れてくるのが、最終楽章33:22辺りからで、35:32からのクレッシェンドで35:42に頂点を結んだ瞬間、扉は開かれた、そんな感じです。 その時、初めて、これまでの楽章の何ともいえない重苦しさの意味が分かるんですね。 曲調が変わったこともあるでしょうが、この辺りから明らかにベルリンフィルの音色は明るくなり、演奏が外へ外へと積極的に志向してるのが分かりますね。結局、バルビローリはフィナーレまで決して急がずあわてず、大概のマーラー演奏に見られるように奇をてらったりしませんでした。そして、そこから見えてくるもの、それは、このマーラーの「復活」が紛れもなく交響曲であった、ということです。 私は、前回の4番の時に、 「ここまでマーラー聴いてみて思うのは、マーラーの書く音符(誤解を覚悟で言えば音楽)にはそれほどの深みはないんですね。そのため、ただ譜面どおり演奏しても音楽にならない。 アイデアはたくさんあるけど、それを音符に表す作曲家としては未熟だったんだと思います。 だから、指揮者はじめ演奏家がマーラーの書く音符に自ら命を与えて、想像力を膨らませ、物語を造って行く作業が必要になるんです。 与えられた様式を守っていれば一応音楽になるかも、といったものではないんですね。」 と書きました。 しかし、バルビローリのこの演奏に彼なりの何か物語を聴くことができましたでしょうか?何か、彼のこの曲にこめた感情の起伏を感じ取ることが出来ましたでしょうか。 私にはどちらも感じることは出来ませんでした。 勿論、全くないなんてありえませんが、少なくともそういった要素を基準にして音楽を作ってはいないでしょうね。 そこにはただ、アレグロ・マエストーソの音楽があり、アンダンテ・モデラートの音楽があり、スケルツォの音楽があります。そして最後に独唱、合唱により復活の詩が歌われ、感動のうちに終曲を迎える。 何故感動するのか。 それは、マーラーの書いた曲が素晴らしいからです。 マーラーは譜面に細かく言葉で指示を書いていますが、そういったものに惑わされず笑、実は音符をしっかり読めばおのずと彼の音楽は見えてくるんでしょうね。 それを証明してくれたのが、バルビローリのこの演奏だと思います。 リッピングドライブ:PHILIPS CDD3610/85 リッピングソフト:POIKOSOFT Easy CD-DA Extractor PC : Windows XP Pro Core 2 Quad Q6600 2.40GHz AVI作成ソフト:AVIMAKER FLVへのエンコーダソフト:MediaCoder 音声はMP3 【ヨハネス・ブラームス/交響曲第2番ニ長調 作品73】 ジョン・バルビローリ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1966年12月7日~9日、ウィーン、ムジークフェラインザール 【収録】 1 第1楽章 […]
Archive for February, 2012
バルビローリのブラームス "交響曲第2番" ESOTERIC SACD (CD層)
ベルリン・フィル聴くならこれも聴け!! マラ5
ということで、体調も少し良くなってきたので、またダメになる前に、もう一度吠えたいと思います。笑 私の愛するカラヤンがベルリンフィルを振った演奏で是非聴いてい置いていただきたい演奏があります。 以前、【マーラー没後100年記念】として連載した時、その第1弾としてご紹介した、グスタフ・マーラーの交響曲第5番嬰ハ短調です。1973年、ベルリンのフィルハーモニーでの録音です。 以前からこのブログをご覧いただいている方はご存知でしょうが、この記事は私がブログ村ランキングに参加する以前だったように思いますので、そこからお越しいただい手いる方も多いので、今回改めてお聴きいただこうと思います。 <2011年5月5日掲載記事> 【マーラー没後100年記念 第1弾】 カラヤンの5番 今日から、「マーラー没後100年記念」と題しまして、マーラーの交響曲を「大地の歌」を含め、お聴きいただこうと思います。 満を持して、と言うわけではないのですが、誰の演奏にするかやはり悩みます。 わざわざ聴いていただこうと言うのですから、聴いて満足していただきたいですしね。 ですから、演奏は良くても録音が良くないものは今回はやめておこうかな、とも思っています。マーラーですからね、音的にも楽しめなくてはいけないでしょうし。 で、そんな中でも「マーラー没後100年記念」第1弾としてはじめから決まっていたものが今日お聴きいただく、カラヤンの演奏です。 マーラーと言いますと、確か、当時ヨーロッパでマーラー、ブルックナーが人気が出ていて、そのコンサートを紹介していたNHKFMではじめて聴いて以来もう30年近く経ちますが、当時はまだなかなかレコードを買うことができません(曲が長いので大抵2枚組み)で、地道にエアチェックで交響曲全て揃えていましたね。 で、最初に買ったのが小沢の巨人で、その後マゼール・ウィーンフィルの復活、ショルティ・ロンドンフィル?の3番、アバド・シカゴ響の夜の歌、など買っていたのですが、何故かカラヤンは買っていませんでしたね。カラヤンならどうやるんだろう、といつも気にしてはいたんですが、それを聴いてしまうとパンドラの箱や玉手箱ではありませんが、何かしら答えが出てしまうのではとどこか躊躇していました。 リッピングドライブ:PHILIPS CDD3610/85 リッピングソフト:POIKOSOFT Easy CD-DA Extractor PC : Windows XP Pro Core 2 Quad Q6600 2.40GHz AVI作成ソフト:AVIMAKER FLVへのエンコーダソフト:MediaCoder ファイルサイズは、各61.9MB,36.4MB 音声はMP3です。 グスタフ・マーラー/交響曲第5番嬰ハ短調 ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリンフィルハーモニー 1973年 ベルリン、DG録音 第1楽章<葬送行進曲> 第2楽章<嵐のように激情して、最上の美しさをもって> 13:06~ 第3楽章<スケルツォ> 28:18~ 第4楽章<アダージェット> 第5楽章<ロンド-フィナーレ> 11:54~ 私はこれを聴いて、カラヤンは決して表面的な美しさを求めた指揮者でもなければ、聴衆に媚びた指揮者でもないことを確信しました。この5番はよく言われるような美しさやストーリー性はありません。 聴き手にとってこの5番はかなり厳しいです。もし、美しく感じるとしたら、それはマーラーの音楽が美しいんですね。 ベルリン・フィルも70年代のこの頃は完全にカラヤンの一部になっていて、私としては最高です。 60年代のカラヤンとのベルリンフィルはとても有機的なんですが、70年代になってこの頃のベルリンフィルはカラヤンの音楽と一体となっていて、奏者一人一人が発する音が音楽の一部になっている、そんな印象です。 名匠、名演奏家が名演奏をした、と言うレベルではないと言うことです。 ——————————————————————————— 今のベルリンフィルにはこのような演奏は望むべくもありません。現存する指揮者誰一人としてこんな演奏できないでしょう。カラヤンが来て、この腑抜けた演奏家たちを一から鍛え上げなければ無理でしょうね。悲しくも、情けない話です。 そして、だいたい、皆さんはこの演奏をどう思うか。 演奏家が腑抜けなのは、聴衆も腑抜けだからです。 ★PC音源はメインシステムで聴きましょう。
《アンセルメ》情熱のスペイン特集 Ⅱ
《アンセルメ》情熱のスペイン特集、2回目です。 私の所有するものからお聴きいただいているので、どうしても指揮者が偏ってしまいますね。 アンセルメは結構管弦楽曲を録音していて、デッカと言うことで音もいいですし、演奏的にもはずれが無いことからつい増えてしまう指揮者です。 ニコニコ動画のコメント欄に「スペインの庭の夜もお願いします!」ってありましたが、《アンセルメ》情熱のスペイン、と言う2枚組みのCDをアップしたものなので、この曲はないんですね・・これ→ リッピングドライブ:PHILIPS CDD3610/85 リッピングソフト:POIKOSOFT Easy CD-DA Extractor PC : Windows XP Pro Core 2 Quad Q6600 2.40GHz AVI作成ソフト:AVIMAKER FLVへのエンコーダソフト:MediaCoder 音声はMP3 【ファリャ/バレエ音楽『恋は魔術師』】 エルネスト・アンセルメ指揮 スイス・ロマンド管弦楽団 マリーナ・デ・ガバライン(メゾ・ソプラノ) 1955年10月、ジュネーヴ、ヴィクトリア・ホール録音 【ファリャ/バレエ音楽『三角帽子』】 エルネスト・アンセルメ指揮 スイス・ロマンド管弦楽団 テレサ・ベルガンサ(ソプラノ) 1961年2月、ジュネーヴ、ヴィクトリア・ホール録音 【シャブリエ/狂詩曲「スペイン」】 エルネスト・アンセルメ指揮 スイス・ロマンド管弦楽団 テレサ・ベルガンサ(ソプラノ) 1964年12月、ジュネーヴ、ヴィクトリア・ホール録音 色彩豊かで、アンセルメのスペイン物は楽しいですね。 ★PC音源はメインシステムで聴きましょう。