Archive for October 19th, 2016

トム・ディクソンに見る、振り付けの基本?紀平選手の”ラプソディー・イン・ブルー”

振り付けの基本、だなんて、御承知のとおり、私別に振り付けしでもないですし、振り付けに詳しいわけでもないですので、ちょっと、あれですが、紀平選手の”ラプソディー・イン・ブルー”を見て、ああ、振り付けって、こういうのでいいんだぁ、って感動しまして… こういうので、って言うのは、この紀平選手の”ラプソディー・イン・ブルー”、トムディクソンの振り付け、記事にも書きましたが、なんていうんでしょう、見た感じ、全然力が入っていない。まあ、ジュニア上がりたての少女にということで頼まれて、ちゃちゃっと、というわけではないんでしょうが、あまり時間かけず、トムディクソンのセンスだけで作った感じの振り付けです。 勿論、私の印象で、本当の所はわかりませんけど… 紀平選手は、皆さんどうお思いかわかりませんが、私は、彼女は、音楽の表情を捉え、それを身体であらわすことが、非常に上手い、って思うんですよね。もう、14歳とは思えない。 この演技は、トリプルアクセル成功した時の演技で、トリプルアクセル成功したということで、演技も、グッとジャンプに集中した感じがあって、振りへの集中は落ちているんですが、トリプルアクセル失敗したチェコ大会の時は、本当に、ピッタリ、音楽と振りつけとが一体となった演技で、そういう意味ではチェコ大会のほうが良い演技だったくらいです。 振り付けの基本… といっても、専門的なことではないんですが、つまり、単純な話し、振り付けの基本って、まずは、音楽を体の動きで表現する、ことですよね? 4分の間には、音楽とは関係ないジャンプ、スピン、ステップといった要素をこなしていかなければなりませんから、どうしても、音楽とは離れた演技をする場面は出てくるものなんですが、だからこそ、要素ごとの繋ぎの重要性があるんでしょうが、トムディクソンのこの”ラプソディー・イン・ブルー”は、極端に言えば、演技の全てが、音楽、音をを身体で表現した振り付けで、出来ている、そんな感じなんですよね… 無駄が無い。 彼女の動作一つひとつ、全てが、音楽、音を表現している。 例えば、冒頭の繰り返しの四分音符の音形は、身体をくねくねし、次のピアノの十六分音符のピアノの強い音でパッとした感じを、両腕をパッと広げることで現したり、ジャンプの後のクラリネットのしゃくり上げる感じは、腕を下から上へ。 その後トランペットとトロンボーンのミュートをつけた、少々間の抜けた、とぼけた感じが、レイバックスピンで、くるくる回るのと、なんかピッタリ嵌っていて… で、その後、ガラッと曲調が替わる時に、紀平選手が頬に手の甲ををあて、にこっと! もう、ここまででも、音楽、音に振り付けがピッタリで、無駄がありませんで、私なんか、もう、紀平選手の上手さもあって、この時点で、この振り付け、演技に引き込まれました。 上手いなあ、と… 中間の静かなところに入る部分のピアノ演奏の所は、そのまま、ピアノを弾いている様子が振り付けになって、そして、弦の旋律に入る前の最後のピアノの高い音で、バレエ風のポーズで、音楽の雰囲気にピッタリ。笑 行進曲風なところは、腕、脚を真っ直ぐにして腕を挙げ、脚を前に出し、よくある兵隊の行進を思わせる動きだったり。笑    そんな感じで、その後も音楽と音の要所要所をしっかり拾って振り付けにしていくわけですが、それを全部説明していくのもあれですので、そういう視点で、もう一度この彼女の演技、見てみてください。 あと、この振り付けの特徴は、紀平選手のジャンプ能力を信頼している、そんな振り付けですね。言い換えれば、彼女のジャンプの安定感あってこその、振りつけです。 ジャンプの後に決めポーズって言う場面が何回かありますからね。 ジャンプの質、出来として、演技に溶け込んだジャンプ、という言い方しますが、このトムディクソンの”ラプソディー・イン・ブルー”は、振り付けそのものが、ジャンプと一体となった振り付けということで、ある意味、難しい、ジャンプが安定している紀平選手だからこそ可能だった振り付けなのかもしれませんね。   後半、クライマックスに入っていく部分、3:53くらいのところなんか、両腕をこちらに向けて、これからクライマックスですよ、どうぞ、と誘う感じが、何とも好きですねぇ~。笑 解ってもらえますかね…   音が低い音から上昇すれば、腕を下から上へ。 音楽が早ければ、動きも早く、ゆっくりであれば、動きも遅く。 音楽が元気なら、振り付けも元気に、音楽がやさしいのであれば振り付けも優しく。   こんな基本的な、当たり前をおさえるだけで、こんなに楽しい振り付けが出来るんだなあ、と思った次第。   勿論、色んな振り付けがあった方が楽しいので、これは、そのうちの一つですね。   でも少なくとも音楽を表現する、この一点を見失っては、より大きな感動は得られない、そう思います。      

Wednesday, October 19th, 2016