大分ご無沙汰してしまいました・・ 今日はカラヤンのブルックナーを聴きます。 カラヤンは全集を出すなど積極的にブルックナーを振ってきましたが、その演奏は他の名演とされる多くの指揮者のそれとは一線を画しています。 重厚壮大、神秘的、或いはこれはワーグナーか??と聴き間違うくらいのおどろおどろしさ。 それに比べたらカラヤンの演奏は非常に淡白で、実に淡々と進んでいきます。 ブルックナーを語る上で欠かせないのが版の問題です。 カラヤンも原典版を採用しています。 例えば、ベルリンフィルとの全集では、こうです。 交響曲第1番ハ短調(ノヴァーク版) 交響曲第2番ハ短調(ノヴァーク版) 交響曲第3番ニ短調(ノヴァーク版) 交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(原典版) 交響曲第5番変ロ長調(原典版) 交響曲第6番イ長調(原典版) 交響曲第7番ホ長調(原典版) 交響曲第8番ハ短調(ハース版) 交響曲第9番ニ短調(原典版) 所謂原典版とは、実は「初版」には弟子たちが手を加えているらしく、その関与を明らかにしそれを除去すべしということから、1929年ウィーンで国際ブルックナー協会が創設され、第二次大戦終結までロベルト・ハースが中心となって編集されたものが、当時原典版として世に出たもののようです。 ハース版、ノヴァーク版とあるのはその後、レオポルト・ノヴァークが改めて編集しなおしたもので、どちらも原典版といえるもので、4、5、6、7、9番はその違いが無いので原典版と称され、他は区別されていると言うことですが、7番もハースとノヴァークでの違いがあるようですし、しっかり調べないとちゃんとしたことはいえませんね・・ 多分この全集では当初国際ブルックナー協会(ハースなど)で編集された所謂原典版を使っていいるのではないかと思います。で、その時編集されなかった3番や後にノヴァークによって編集しなおされた1、2番は、ノヴァーク版を使い、8番はやはりハース版を使ったと言うことではないかと思います。 基本的にブルックナーの音楽は打楽器は必要最小限しか入りませんが、私が一番許せない版は「シャルク改訂版」です。この版は、本来入っていない、入れてはいけない箇所にティンパニーを入れたり、別途金管やシンバル、トライアングルを追加したりしていて、もう最悪です。これは改訂版ではなく、勝手な編曲です。 この改訂版は勿論評判は宜しくおありません。当たり前ですね。 それにもにもかかわらず、また当時他にも版があるにもかかわらず、クナッパーツブッシュはこともあろうに、1956年の交響曲第5番ではこの悪名高いシャルク改訂版使ってウィーンフィルと録音しています。 歴史的な興味本位からか、どういう経緯でこの版を選んだかは分かりませんが、こんな演奏をしてブルックナーの音楽をおかしいと思わないのですから、このことだけでも、この指揮者のセンスが知れます。 その演奏を聴いた以降、私はクナの演奏を聴く気になりませんし、今となっては、そもそも彼の音楽家としての資質も疑っています。 他の多くの演奏家がやるように、アゴーギックの操作によるアプローチでは、いつまでたってもブルックナーの音楽は、片田舎の無骨でロマンティストなドイツのオルガン弾きの音楽で終わってしまうのです。 はたまたこれはワーグナーだったっけ???というようなお化け演奏になってしまいます。 どうしても教会でオルガン奏者になりたかった、そして実際にオルガンの名手として大成した彼の純粋な信仰の先にある宇宙にまで広がるこの思いを伝えたくて書いたこの音楽を、その溢れんばかりの彼の才能溢れるこの世界を如何に音として再現してあげられるか。 唯一カラヤンが、それに取り組んだ指揮者です。 【ブルックナー:交響曲第7番ホ長調(原典版)】 ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1975年4月、ベルリン、フィルハーモニー リッピングドライブ:MATSHITA CD-ROM CR-594 リッピングソフト:POIKOSOFT Easy CD-DA Extractor PC : Windows XP Pro Core 2 Quad Q6600 2.40GHz AVI作成ソフト:AVIMAKER FLVへのエンコーダソフト:MediaCoder 音声はMP3 【曲目】 第1楽章: […]