Archive for March, 2014

キム・ヨナへの評価を巡って

実は最初キム・ヨナの演技について書こうと思ったのですが、どうも、今更感があるし、無知な私がわざわざ書くこともないかなぁ~、なんて思っている中、ネットで色々見ているうちに、ああ、まだやってんだよな~、と。キムヨナ落し、姫上げ。 大体、キムヨナの演技の話になると、日本のみならず海外でもジャッジの不正の話になってしまい、彼女の演技そのものの評価が正当にされていないですよね。というか、そういう話にならない。 競技会での採点が高すぎたり、ジャンプの回転不足が彼女だけとられなかったりということが多いので、彼女の演技への高評価は全て偽者、ということになってしまっているようで。 で、結果、本当にキムヨナは、演技はやる気がなく、ヨレヨレで、ジャッジを金で買収し、八百長を繰り返し、性格が悪く、世界の嫌われ者、ということになっていますよね。 で、そのライバルとされている日本のお姫様については、全くその逆で。 完璧に善と悪の構図。 と、そこに全ての悪の根源であるISUが登場するわけです。 この悪の組織は、日本の大切なお姫様をいじめるわけですから、もう、大変です。 悪の組織からもキムチの魔女からも、皆でお姫様を守らなければなりません。笑 ホント、フィギュアファンはこういうのが好きです。これがなかったら少なくとも今の日本のフィギュア人気、注目度なんて半分でしょうね。だからマスコミは煽るわけです。お姫様いじめれば視聴率上がりますから。でも最近はお姫様の守衛になった方が良いということで上げに転じたりね。 まあ、二人とも引退すれば、よくも悪くもこういった話題はなくなりますし、わけのわからないファンはいなくなるので、純粋に競技を楽しむことが出来ますから、私なんかは、これからが楽しみなんですけどね。   で、私なんかがキムヨナの演技を評価するまでもなく、荒川静香さんがそんなことを書いた本を出しています。『誰も語らなかった 知って感じるフィギュアスケート観戦術』。1月発売。と言っても、私は読んでいませんので、その辺りを紹介しているものを読んでの話になります。 フィギュアファンであればもうとっくに知ってる話ですが… キム・ヨナの評価として、まず、 「一般的には浅田選手はジャンプ技術が持ち味で、ヨナは表現力で勝負していると思われがちですが、私から見るとむしろ逆なのです」 として、 ・メンタル面が強い。 ・3+3の難しいコンビネーションジャンプが強い。 ・着氷率が高い。 ・苦手なジャンプの前にスピードが落ちるのを隠すのが上手い。 ・スピードは出しているが、漕ぎが多い。 それに加え、2月中旬頃にネットの記事で、この荒川さんの本について、所謂キムヨナの不正疑惑、韓国のISUへの買収疑惑への反論と言う形で、紹介していまして、そこには、 ————————————————————————————————————————————————– 「ヨナは技術点のうちGOE(技の出来映えに対する加点)が高すぎる」という“キム・ヨナ八百長説”を唱える人々に反駁するように、「一つ一つのジャンプの質を見て、どちらが加点のつくジャンプを跳んでいるかというと、ヨナはやはりすごく強いジャンパーです」と断言。着氷率の高さはもちろん、テイクオフのスピードと勢いがあると解説している。また、ヨナの武器であるルッツやフリップなど難易度の高いジャンプで3回転+3回転のコンビネーションができる選手はシニアの女子ではごくわずかであるとし、なおかつ「彼女ほどの確実性がある選手は他にいません」と称賛。ヨナの技術点の高さと加点の多さには、きちんと理由があることを強調する。 ————————————————————————————————————————————————– この本で、荒川静香さんはキムヨナを擁護したと言うことで、特に日本のお姫様ファンからかなりバッシングを受けているようです。「荒川静香キムヨナ擁護」なんかでネットをちょっと探ってみるだけでも、色々出てきます。ブログランキング上位のブログもあります。私はそういうのから距離を置いていますから、ああいうのはちょっと引きます… どっかの国のファンと同じですよ。   私はこの本の存在すら知りいませんでした。笑 で、荒川さんが言っている上の事柄は、そのとおりと思いますが、このことで荒川さんをバッシングし反論するお姫ファンは、 ・我がお姫様はこの世でただひとり、「すべての3回転ジャンプ」を「実際に試合に投入できる」女子シングル選手。 ・「実際に試合に投入できる」ようになるまでどれくらい練習を重ねてきたかわかりません。やろうと思ってできることではない。 ・キムは「3回転ループが跳べない」「フリップジャンプの軌道とテイクオフのエッジがおかしい」という致命的な問題を持っている。 ・我がお姫様は、ジャンプという技術を磨きぬき、ショートとフリーでなんとすべて異なるジャンプの組み合わせで連続ジャンプを実施。これはすごいことです。 ・キム・ヨナは跳べるジャンプが少ないので組み合わせにも四苦八苦。いつも決まった種類しかできない。 と言うことで、キム・ヨナにはジャンプの技術がなく、我がお姫様には圧倒的なジャンプ力がある、ということを主張します。これは「あんたたちもっと驚きなさいよ」というブログでの主張ですね。 一応、ご紹介しておきます。   でも私は、その選手が本来持っているフィギュアスケーターとして能力云々ではなく競技会での演技について考えています。 何故なら、そう言った個々の選手の事情を踏まえた全てが集約されているのが競技会だと思うからです。 競技人生と言うくらい、選手にとって、競技会は人生の一部なんですからね。そこでのパフォーマンスについて語るべきです。 我々、素人は。 ので、全部飛べて凄いんだぞぉ~、って話は、とりあえず、意味がないです。笑     つづく      

Saturday, March 8th, 2014 

ソチでキム・ヨナは何故負けたか

キムヨナのソチでの採点に関してまだやっているようですね。ネット署名が200万超えたとか。 よう頑張りますね…笑   ソチでキム・ヨナは何故負けたか それは、フリーについて言えば、油断と作戦負け、と小さな取りこぼし、ですね。 つまり、思ったより他の上位選手のレベルが上がっていて、結果、プログラム構成で負けた、と言うことです。 まあ、別にえらそうに言うほどのことでもなくて、普通にジャッジスコアー見ていただければ分かりますが、基礎点に時点でソトニコワが4点近く勝っています。ソトニコワが61.43、キムヨナが57.49。 この中でも特に差が大きいのは、2本目の2連続と3連続ジャンプでしょうね。2本目の2連続は、ソトニコワが2A-3Tの後半の1.1倍で8.14、キムヨナが3S-2Tで5.5。3連続が、ソトニコワが3F+2T+2Lo で後半の1.1倍で9.24 、キムヨナが2A+2T+2Loで後半1.1倍で7.04。この2つのジャンプでソトニコワ17.38、キムヨナ12.54。ここだけでその差4.84。 で、キムヨナはスピン・レベルの取りこぼしがありましたので、結果、技術の点数が6点近くも差がついたと言えますね。 多分キムチのファンも分かっているんでしょうが、それを埋めるだけの加点をよこせと言ったって、これ以上は無理でしょうし、だからソトニコワの点がおかしいと。笑 ただ、私は、技術点はともかく、プログラム・コンポーネンツはおかしいと思います。 ソトニコワの滑りは、振りとか全体的にぎこちなく、曲への解釈に関してはもっと劣っていたと思います。ほぼ全て9点台と言うのはちょっとおかしいですね。特に音楽に合った身のこなしとか、曲の解釈とかはしっかり8点台でも良かったと思います。 この辺がジャッジの信用できないところで、技術点が良いと当然のようにプログラム・コンポーネンツも高く付けてしまう。 改善すべき点です。 恐らくキムヨナは、このくらいの基礎点であれば、GOEで何とかなると思っていたかも知れませんね。ショートで少なくとも5,6点差をつけて、と計算していたでしょう。 で、以外にショートで差が付かなくて、これはまずいと。   油断でしょうね。   もう一度、ジャッジスコアー見ながらそれぞれの演技、改めて見るのも良いかもしれません。 【Sotnikova’s Gold Medal Winning Performance – Ladies Figure Skating | Sochi 2014 Winter Olympics 】   【Yuna Kim Claims Silver With A Superb Performance | Sochi 2014 Winter Olympics 】      

Thursday, March 6th, 2014 

世界に通用する表現力、鈴木明子Vol.2 「オペラ座の怪人」

私は間違っていたようですね… 泣けるのはショートの方と思っていましたが、このフリーの「オペラ座の怪人」は、もう何度見ても泣いてしまいます。 多分、彼女が今季で引退するということと、この最後の全日本に対する彼女の強い思いと意気込みがその演技から伝わってくるからでしょうね。 良かったね、ありがとう、という感じですかね。 それとどう考えても、年のせいか、涙腺緩いです。笑   で、この2013全日本の演技で何より大事なのが、その感動の滑りがしっかり勝負の舞台での評価として現れていると言うことです。数字として現れている。 何となく気合が入ってて良かった、と言うものではない。 ちゃんと、フィギュアスケート競技としての審査基準の各要素を極めていけば、私たちの感動とジャッジの評価が一致する、良い例だと思います。それは勿論ショートにも言えることで。 例えば同じジャンプを着氷しても、出来が良かったと判断されるジャンプと、悪くないけど特別よくない、と言う評価どまりのジャンプとは、演技の中でのジャンプの役割、効果に差が出てきてしまいます。 これについては別途、考えをまとめておきたいと思いますが、例えばジャンプを跳んで着氷できたとしても、そのジャンプの出来が良かった悪かったと言うのは、GOE評価のガイドラインがあって、それにしたがってやっているようです。例えばこれは2008年度時点でのもので現在もこうなのか分かりませんが、こんな感じなんですね。 これは決まりなので、これについてどうこう評価する類のものではないですが、後はジャッジが個々の選手のジャンプを、この基準に従いどう判断するか、ということです。 この辺は常識でしょうからいうまでもないですね。 これで言うと、鈴木さんのジャンプは助走が長いということもあったりで、見た印象よりも以外にGOEは押さえられ気味かもしれません。   先の記事で書き忘れましたが、ショートプログラム「愛の賛歌」は、編曲:平沼有梨、ヴァイオリン演奏:古澤巌、振付:マッシモ・スカリでした。   そしてフリープログラムは、   振付:パスカーレ・カメレンゴ 作曲:アンドリュー・ロイド=ウェバー   「オペラ座の怪人」   プログラムに使用したのは、作曲者自身が組曲として新たに作曲したもののようです。CDも出ています。 怪人をチェロ、クリスティーネをヴァイオリンのソロで表現した曲で、フリーでの抜粋、編集も小気味よく、非常にセンスの良さを感じました。   そして何より、ラスト・シーンが…   ここで必ず、涙します。   この2013の全日本での彼女の名演については、今更だとは思いましたが、自分の中で、こういう形で残しておきたいと思い、記事にしました。   フィギュアスケートと言う競技は、高度なスポーツ技術と芸術的要素が高いレベルでバランスが取れた時、私たちに他には替えがたい、喜び、楽しさ、そして感動を与えてくれます。 それはどちらかが勝っても駄目で、その辺のバランスの良し悪しは競技会ではスコアーとしては評価されませんが、バランスの崩れた演技は、私たちが感じる感動と、ジャッジが評価したスコアーと、選手自身が感じる自分の演技への評価との間にギャップが生じることになるように思います。 この鈴木明子さんの演技は勿論素晴らしいですが、オリンピックのような勝負の場において高いレベルで上位を争うには、技術・表現ともにもっと完成度を高めて、私はこう演技します、という確かなものをジャッジ、観客に伝えることが必要です。実際彼女はオリンピックでは、曖昧さを排除し、演技により磨きをかけて臨んでいました。 ですが、にもかかわらず、彼女の2013全日本の演技のように、スケート技術と音楽と、それらに共感し、しっとりと寄り添う彼女の人間性が、絶妙なバランスを持ち、そのバランスが保たれる中で初めて味わえる感動がここには確かにあり、この絶妙な感覚こそがフィギュアスケートの醍醐味ではないかと思います。   そんな風に思わせてくれた鈴木明子さん、   ソチでは両足小指の痛みの中、頑張りましたね。   ありがとう。   鈴木明子 Akiko Suzuki 2013-2014 エキシビション 『Love Dance From Kà (シルク・ドゥ・ソレイユ)』より 振付 […]

Sunday, March 2nd, 2014