Archive for March 2nd, 2014

世界に通用する表現力、鈴木明子Vol.2 「オペラ座の怪人」

私は間違っていたようですね… 泣けるのはショートの方と思っていましたが、このフリーの「オペラ座の怪人」は、もう何度見ても泣いてしまいます。 多分、彼女が今季で引退するということと、この最後の全日本に対する彼女の強い思いと意気込みがその演技から伝わってくるからでしょうね。 良かったね、ありがとう、という感じですかね。 それとどう考えても、年のせいか、涙腺緩いです。笑   で、この2013全日本の演技で何より大事なのが、その感動の滑りがしっかり勝負の舞台での評価として現れていると言うことです。数字として現れている。 何となく気合が入ってて良かった、と言うものではない。 ちゃんと、フィギュアスケート競技としての審査基準の各要素を極めていけば、私たちの感動とジャッジの評価が一致する、良い例だと思います。それは勿論ショートにも言えることで。 例えば同じジャンプを着氷しても、出来が良かったと判断されるジャンプと、悪くないけど特別よくない、と言う評価どまりのジャンプとは、演技の中でのジャンプの役割、効果に差が出てきてしまいます。 これについては別途、考えをまとめておきたいと思いますが、例えばジャンプを跳んで着氷できたとしても、そのジャンプの出来が良かった悪かったと言うのは、GOE評価のガイドラインがあって、それにしたがってやっているようです。例えばこれは2008年度時点でのもので現在もこうなのか分かりませんが、こんな感じなんですね。 これは決まりなので、これについてどうこう評価する類のものではないですが、後はジャッジが個々の選手のジャンプを、この基準に従いどう判断するか、ということです。 この辺は常識でしょうからいうまでもないですね。 これで言うと、鈴木さんのジャンプは助走が長いということもあったりで、見た印象よりも以外にGOEは押さえられ気味かもしれません。   先の記事で書き忘れましたが、ショートプログラム「愛の賛歌」は、編曲:平沼有梨、ヴァイオリン演奏:古澤巌、振付:マッシモ・スカリでした。   そしてフリープログラムは、   振付:パスカーレ・カメレンゴ 作曲:アンドリュー・ロイド=ウェバー   「オペラ座の怪人」   プログラムに使用したのは、作曲者自身が組曲として新たに作曲したもののようです。CDも出ています。 怪人をチェロ、クリスティーネをヴァイオリンのソロで表現した曲で、フリーでの抜粋、編集も小気味よく、非常にセンスの良さを感じました。   そして何より、ラスト・シーンが…   ここで必ず、涙します。   この2013の全日本での彼女の名演については、今更だとは思いましたが、自分の中で、こういう形で残しておきたいと思い、記事にしました。   フィギュアスケートと言う競技は、高度なスポーツ技術と芸術的要素が高いレベルでバランスが取れた時、私たちに他には替えがたい、喜び、楽しさ、そして感動を与えてくれます。 それはどちらかが勝っても駄目で、その辺のバランスの良し悪しは競技会ではスコアーとしては評価されませんが、バランスの崩れた演技は、私たちが感じる感動と、ジャッジが評価したスコアーと、選手自身が感じる自分の演技への評価との間にギャップが生じることになるように思います。 この鈴木明子さんの演技は勿論素晴らしいですが、オリンピックのような勝負の場において高いレベルで上位を争うには、技術・表現ともにもっと完成度を高めて、私はこう演技します、という確かなものをジャッジ、観客に伝えることが必要です。実際彼女はオリンピックでは、曖昧さを排除し、演技により磨きをかけて臨んでいました。 ですが、にもかかわらず、彼女の2013全日本の演技のように、スケート技術と音楽と、それらに共感し、しっとりと寄り添う彼女の人間性が、絶妙なバランスを持ち、そのバランスが保たれる中で初めて味わえる感動がここには確かにあり、この絶妙な感覚こそがフィギュアスケートの醍醐味ではないかと思います。   そんな風に思わせてくれた鈴木明子さん、   ソチでは両足小指の痛みの中、頑張りましたね。   ありがとう。   鈴木明子 Akiko Suzuki 2013-2014 エキシビション 『Love Dance From Kà (シルク・ドゥ・ソレイユ)』より 振付 […]

Sunday, March 2nd, 2014