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“Satoko Miyahara ! ” が認められた瞬間… 2016 世界フィギュア 女子フリー

2016年、今シーズンの締めくくりとなる世界選手権、宮原選手は、結果5位と言う成績でした。 シーズン当初から、自分に秘めた情熱的で積極的な思いを、何とか表現して、何か新しい自分を出せたらと、頑張ってきて、その変わりようは、特に今までさほど彼女に注目していなかった私には、グランプリシリーズ・アメリカ大会の彼女のショートの演技は、一瞬、サーシャ?と錯覚する勢いで、こういう宮原選手が見たかったんだ、って思い、嬉しくもありました…   そんな彼女の勝負曲、ショートで使った曲、リバーダンスからの一曲、「ファイヤーダンス」。   カッコいい、曲ですね… 大抵、フィギュア競技で使った曲の原曲を、音楽だけで聴くと、フィギュアで聴いた時の印象と違ったりするものですが、そう、本当はこんなに良い曲だったんだとか、結構本格的な純音楽だったんだとかね、笑、そうなるんですが、まあ、私がこの曲、宮原選手の演技ではじめて聴いたせいもあるんでしょうが、宮原選手の場合、この曲をこうして単独で原曲聞いても、少しも印象が変わらないです。 聞いていると、彼女の演技のカッコよさが、目に浮かんできます。 さすがですよね。 それはやはり、彼女がしっかり、この音楽の特徴を捉え、理解し、それが振り付けの中にどう生かされているのか、与えられた一つひとつのポーズの意味を自覚し、そしてそれを自分が実際形にしていくうえでの自身の気持の高まり、そしてこれまで培ってきた技術、それら全てが結実して初めて可能なことだと思います。 そして何より良かったのは、彼女自身、この曲に媚びることなく、誠実で、清潔で、品のある、宮原知子のファイアーダンスを演じたことです。 それが何より素晴らしかった… そして忘れてはいけないのが、振り付けの良さです。 トム・ディクソン、ブラボー!!   今シーズン、彼女の何が良かったって、やはり、ショート、フリー共に充実していたことでしょう。 それは演技は勿論ですが、その出来にかかわる、プログラム、振り付け、音楽が、非常に彼女にフィットしていました。 よくよく見たら、このフリーの振り付けって、げっ!、ニコルじゃないですか。笑 大丈夫~???って、彼女のフリーの演技を見れば大丈夫だったんですが、この程度の振り付けでも、その与えられた振りそのものに、しっかり、彼女の感じたsomething elsewを上乗せして、このなんとも中途半端な、よく言えば控えめで品のある、振り付け、ポーズの一つ一つに輝きを与えていました。 ニコルは、宮原選手に、感謝しなければなりません。   今大会の彼女は、ショートから終始、固さが取れませんでした… やはり、それまでの戦績に、それなりの実績を積み上げてきた中での、本当の世界との戦いですから、今まで、また昨年とは、違ったことと思います。 それに、大会の地は、アメリカ… 彼女のジャンプは、彼らが好きそうな豪快なものではないですし、ジャンプの評価基準からしても、低く、滞空時間の短い中で、くるくるっと回るジャンプは、所謂、「楽に跳んで遅れて回りきり、開いて降りてきて、伸ばせば完璧」って言われるような、評価されるジャンプとは真逆です。 演技も誠実な感じはいいけど、何かしら消極的で、地味でインパクトに欠けるってアメリカ人が評価してもおかしくないものです。小柄な東洋人、ということで余計そういう印象は強いのではないでしょうか。 でも、この大会を通じ、直に彼女の演技に触れるなかで、彼女の安定したジャンプ、スピン、ステップ、スパイラル… 気負うことのない、これら全てが、誠実で堅実で、優しく、そして一本筋の通った彼女自身の、その小柄な体、全身から発せられる優しいエナジーに包まれた時、彼らにとって、スポーツでもありエンターテイメントでもあったフィギュアスケートが、こんなにも安心感を与えてくれるものなんだと、感じてくれたのではないでしょうか。 こんなフィギュアもいい、って… 最後、フィナーレ、レイバックスピンの美しさに拍手がおこり、そしてそれがビールマンへと形を変えたとき、一段とその拍手が大きくなる中、静かに演技を終えた瞬間、立ち上がって拍手をする観客の暖かいまなざしに包まれる宮原選手… そして、人が何かを成し遂げたときに見せるホッとしつつも落ち着きのある笑顔。   “Satoko Miyahara ! ” が、世界に認められた瞬間でした…         来シーズンは、今より、もっともっと大きくなった、あなたが、見られますように…      

Wednesday, April 6th, 2016