Archive for August 18th, 2012

“DECCA SOUND”を検証する (完) 3大テノール 世紀の競演

前回のカーゾンは、結局両者とも一長一短があり引き分けだったかと思います。 それにしてもこうやってどっちがどうのこうのとやっていると、疲れます… レコード聴いてりゃ世話なくていいのに、ってつくづく思います。(笑) なんだかんだ言っても所詮廉価盤なんだから、音質期待する方がおかしいんじゃない?って聴こえてきそうですが、それはそうなんですが、では果たしてこの”DECCA SOUND”は廉価盤だから音が悪いって承知で購入した人、或いは買わずともそう認識していた人ってどのくらいいるんでしょう??少なくとも私は、いくら廉価盤とは言え、あのデッカがだす商品であれば、音質は少なくとも現行品並みを維持していると思っていました。何より、”DECCA SOUND”と銘打っているわけですからね。”DECCA SOUND”という時のサウンドとは情報量ではなく、その音色、そしてその立体的な音像とサウンドステージの素晴らしさにありました。楽器、声の持つ音の色合い、デッカはこれが素晴らしかった。ただ聴いていて良い音だね、では済まない、オーディオ的にも追求できるだけのレベルにあった音なんです。ですから、そんなデッカが”DECCA SOUND”と銘打って出すBOXものであれば、いくら安くてもデッカの代表的サウンドが聴ける、それは永久保存版として存在しうるものだと思っても不思議はありませんよね。私はだから、購入したんですけどねぇ…  少なくとも私には違っていました。それはデッカの音としてずっと大事に所有していけるものではなく、本当に文字通り、単なる廉価モノ以外の何者でもなかった、そんな感じです。残念ですね….. こんな所で、安かろう悪かろうに出会うとは思っても見ませんでした。まあ、”DECCA SOUND”だなんて商品に偽りありですから、そうなると値段も5,000円以下が妥当でしょ。こんな程度の音ならね。 で、今日聴くのは、日本盤ですが初回発売で、リマスター物ではない、ある意味オリジナル盤なのですが、それと全く違う音を収録してあるものが”DECCA SOUND”にありましたので、ご紹介します。【3大テノール 世紀の競演】です。そう、あれです。その中から、7曲目と8曲目を聴きます。一聴違うことは直ぐ判りますが、それはリマスタリングの違いというより、別の音源を使用しているようです。この「世紀の競演」は確かテレビ放映されてますし、DVDにもなっています。どうも”DECCA SOUND”の方は、そのテレビ用か放送用か、映像用かわかりませんが、CD収録のためのマイクとは違うマイクセッティングで収録された音源を使用しているようです。ですから、生々しく面白いのですが、初回発売物と比べるとその音質レベルの低さが一聴瞭然。観賞用ではありません。こういった音源を採用する辺り、明らかに、この商品における、デッカ伝統の高音質というものに対するメーカーの認識の低さが判るというものです。 【3大テノール 世紀の競演】 ルチアーノ・パヴァロッティ(テノール)、プラシド・ドミンゴ(テノール)、ホセ・カレーラス(テノール)、フィレンツェ五月祭管弦楽団、ローマ国立歌劇場管弦楽団 指揮:ズービン・メータ ■録音:1990年7月7日、ローマ、カラカラ浴場 ■7.帰れ、ソレントヘ(ルチアーノ・パヴァロッティ)、8.グラナダ(ホセ・カレーラス)   “DECCA SOUND”   1990年発売の初版日本盤   で、最後に、この時代にあって、まともな音を残していくには油断していてはいけない。そういう思いを込めて、プッチーニの歌劇「トゥーランドット」から”誰も寝てはならぬ”を聴きます。このコンサートのアンコール最後の曲、3人のテノールによる演奏です。勿論、”DECCA SOUND”ではなく、1990年発売の日本盤オリジナルからです。     ★PC音源はメインシステムで聴きましょう。

Saturday, August 18th, 2012 

“DECCA SOUND”を検証する 3 ・・・カーゾンのモーツァルト《ピアノ協奏曲第20番》から

音が悪いということで、”DECCA SOUND”を検証する、ということでやってきましたが、しつこいことに今日で3回目。(笑) 私が参加している「ブログ村」からお越しいただいている方は基本的には読み物目当てでしょうから、9割方、PCの音はPCのスピーカーからだと思いますので、今回の一連の記事はご覧になっても音の良し悪しなんて何のことやらお分かりにならないでしょう。こういう場合、丁寧に音源をお聴きいただいた挙句、結局違いが判らないず、変わんないよ、なんて思われるよりは、記事だけで想像していただいて、なるほど、そうなのかなあ、と思っていただいた方が、ブログとしては都合がよろしいのですが、しっかりお聴きいただいてる方もいらっしゃいますので、そうでない方も今しばらくお付き合いください。 ここまで聴いてきて、”DECCA SOUND”の特徴はある程度分かりました。恐らく、ハイサンプリングでリマスターしていて従来の旧盤より情報量が多く、ハッとさせられる瞬間があります。が、その一方で、音そのものにノイジーな感じが常に付きまとい、質に劣化が感じられ音が安っぽいです。で、その質の悪さは、聴いた範囲のCDでは全て同じ印象で、判で押したような共通したサウンドを感じますし。従来当然聴くことが出来た録音ごと、盤ごとの音の強い個性が消えています。 今日聴くのは名盤名高いカーゾン&ブリテンのモーツァルトのコンチェルトです。エソテリックのSACDにもなっていますね。私はそのSACDも持っていて聴いていますし、レコードも聴いていますが、それから判断しますと、”DECCA SOUND”の方がマスターっぽい情報を聴けているのではないかと思います。情報を聴けると言いますか、近い雰囲気で聴けるといったほうがいいですね。比較するのはデッカのLegends シリーズで96KHz 24bitでリマスターしたものです。2001年発売のドイツ盤、2枚組み。こちらも負けていませんが、これはこの盤の個性、音に改めて仕上げている感じです。 ハッとさせられ、従来のに近い雰囲気かもしれないけれど、ノイジーで薄っぺらい音。一方、従来持っていたこの録音の雰囲気はないかもしれないけど、丁寧に、こういうサウンドを目指したという意思を感じる音。この違いが良くわかる2枚だと思います。 注意していただきたいのは、出来ましたら全部ダウンロードを終えてからの音で比較してください。どうも、ダウンロードしながらの再生ですと、音があまりよろしくないようです。まあ、お使いのPC環境、能力にもよるのかもしれませんが・・     DECCA Legends シリーズ 96KHz 24bitリマスター 2001年発売のドイツ盤、2枚組み     この2枚に限っては、比較したLegends シリーズの方が、かなり音を変えてきているので、リマスターの丁寧さ、という点では上ですが、”DECCA SOUND”の方がどちらかといえば安心して聴いていられるかなという感じですかね…. Legends シリーズの方は、ちょっと音が突っ張っている感じですからね。ただ、”DECCA SOUND”の方はヴァイオリンにノイジーさを感じますし、演奏自体の起伏も抑えられているような気もします。   が、いかがでしょう…   ★PC音源はメインシステムで聴きましょう。  

Saturday, August 18th, 2012 

音が悪い?!”DECCA SOUND” を検証する 2

今日も引き続き、”DECCA SOUND”の検証です。 この聴き比べ、私の装置では違いが判るので当たり前のようにやってますが、皆さんはどうなんでしょうね・・・ PCのスピーカーじゃ判らないかもしれませんね。 昨日の音源で言うと、”DECCA SOUND”の方は、 ①ハイサンプリングしたように全体としてサウンドが滑らかで、音の繋がり、響きの一体感があるようだ。また、高域が伸びているよう。 ②現代の機械を通したような、独特の艶というが響きが乗っているようだ。 ③情報量が上がったような感じがする。 ④音の密度が足りない。 ⑤よって音が軽い。 ⑥よって音が薄い。これまで魅力的だった色彩感が足らない。 ⑦①の弊害として、これまで魅力的だった音の隈取というか、彫が浅い。 ⑧そんなこんなで、聴いていて、音がちゃっちく感じる。 ⑨だから音楽が流れてしまう。 こんな感じでしょうか。 とはいえ、比較しているのが所詮再発のものですから、正しいのはどっちだ、という判断は出来ませんので、他にも色々聴いてみる必要がありますね。で、今日はアンセルメのファリャ作曲「バレエ音楽”三角帽子”」から第4曲 ぶどう を聴きましょう。これは、”DECCA SOUND”のCD1一枚目に当たります。 比較するCDは、2000年発売の「情熱のスペイン」LONDONスーパーツイン2000シリーズという2枚組みの日本盤です。音はあまり良くないです。     “DECCA SOUND”         「情熱のスペイン」 LONDON SURPER TWIN 2000シリーズ 2000年発売 2枚組み 2000円 日本盤         違い判りますか? “DECCA SOUND”はホールの残響など情報量が多い印象はありますが、最初に挙げた特徴どおりですね。楽器の音色にザラつきを感じます。その辺りが、あまり状態の良いデーターを使ってないのかな、デジタルのノイズ、ジッターの影響なのかなと思う所以です。 私のCDほうも、あまり音はよろしくないので、判りづらいかもしれませんが、雑味があるものの、切れ込みが深く、楽器の音色に輝きを感じますし、音楽表現が”DECCA SOUND”より大きく感じます。”DECCA SOUND”の方は、サウンドの凹凸を整理してしまったように思うのですが…ねぇ まあ、そうはいってもマスターを聞いていないので何ともいえないです。   どうですか??   ★PC音源はメインシステムで聴きましょう。

Saturday, August 18th, 2012