【マーラー没後100年記念 第8弾】 クーベリックの第6番「悲劇的」 1968LIVE

今日は、マーラー特集に戻りまして、交響曲第6番「悲劇的」をお聴きいただきます。
演奏は、ラファエル・クーベリック指揮、バイエルン放送交響楽団です。
先日、マーラーの交響曲を個人的に1~5番までを前期、それ以降6番~を後期と考えていることはお話しましたが、一応私なりの理由があります。
これまで、このブログでマーラーに関する私の文を読んでいただいている方はお分かりと思いますが、どちらかといえば私はマーラーをそれほど評価はしていません。
何故かと言えば、やはり、旋律が俗っぽく、即物的で、そのくせ演奏時間が長く、そのわりには音楽的に合点がいくことが少ない、ラヴェルを師と仰ぐ者としてオーケストレーションの工夫が足らず、得るものがない、などなどからの理由です。
しかし、そんなマーラーですが、この6番辺りから少しずつ精神的に熟してきたとでも言うのでしょうか・・ 1から5番までは作曲するにあたってのテーマが外的、即物的なものだったのが、6番から自分の内的なものへと移行し始めたように感じます。
第1番のテーマは英雄、2番は英雄の死とその復活、3番は愛、4番は自然と天上の喜び。
5番はこれまでのようなはっきりとしたテーマはなく、純管弦楽作品としての性格が強いので、そういう意味では後期に入れてもいいのですが、一応5番は後期への移行作品でしょうか。第4楽章がこの頃出会ったアルマへの愛を歌ったものだそうです。
それに比べ、6番は常に自分の心の動きをテーマにしているように感じます。それは、この作品になって旋律の扱いが複雑になっていることからも分かりますが、私個人的には彼が意図的、技術的に複雑にしたのではなく、自分の内面を描こうとした時、そうせざるを得なかったのだと思います。
気分がころころ変わる。
私がマーラーに感じている、情緒不安定な感じ、落ち着きなく、常に人目を気にして認められたいといって饒舌な男、そんなどうしようもない心の内側が透けてしまった、最初の作品、それが私にとってのこの交響曲第6番「悲劇的」です。
【マーラー/交響曲第6番イ短調「悲劇的」】
ラファエル・クーベリック指揮、バイエルン放送交響楽団
1968年12月6日、ミュンヘン、ヘラルクレスザール、ライヴ
リッピングドライブ:PHILIPS CDD4801/31
リッピングソフト:POIKOSOFT Easy CD-DA Extractor
PC : Windows XP Pro Core 2 Quad Q6600 2.40GHz
AVI作成ソフト:AVIMAKER
FLVへのエンコーダソフト:MediaCoder
音声はMP3です。
第1楽章  Allegro energico
第2楽章  Scherzo  20:31~ 
第3楽章  Andante 32:06~
第4楽章  Finale 46:39~

私は、マーラーの交響曲中、一番好きなのは第8番「一千人の交響曲」です。
で、その次に好きなのがこの第6番です。
マーラーが自分の不安定な内面を描いた曲ですから、演奏も実はその辺を強調してほしいのですが、クーベリックはちょっと演奏がタイト過ぎましたね。
でもこの場合、良い悪いではなく、これは歴としたクーベリックのマーラーです。文句の付けようがありませんね。それほど完成度が高いと思います。
バイエルン放送響も、もうこなれてる感じですよね。聴いていて安心感があります。
上手いもんですな・・
アルマは、回想録で第6交響曲は「マーラーの一番個人的な作品」であると述べています。
65:17辺りからのどうしようもなく、抑えきれず、あふれ出る感情。
もう五線譜には収まり切らないほどの音楽!
そして最後の一撃!!
初めて共感しました。
私の中のマーラーは、ここからです。

 

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