音が悪い?!”DECCA SOUND” を検証する

とはいっても、検証というほどのものではなく、私が持っている同じタイトル盤で聴き比べようというもの。というのも、BOX不良で返品してあったDECCA SOUND が届いたので、チェチーリア・バルトリのイタリア歌曲集を聴いてみたら・・・ 何?音が悪い?!少なくとも私が把握しているDECCAの音ではありません。レーベルの音の個性が変わった、というレベルのものではなく、どうもリマスタリングが適当に行われたような音。質の悪いソフトでエンコードした時のような、霞がかって、そのため音色が今一歩淡く、彫が浅く、そのため音が軽く、薄っぺらい。

今時、デジタル技術の著しい進歩で、安くても音のいいもは当たり前の時代。その時代にあってこれは・・・

で、手持ちのCDと聞き比べれば一目瞭然。

アルヘンタの「エスパーナ!!」というCD。高音質なアナログ盤として有名ですね。
私のものは、再発の日本盤。ですので、もとよりそれほど音は良くはないと思っていたCDです。で、その中から、R.コルサコフの「スペイン奇想曲」から第4曲の「情景とジプシーの歌」を聴きます。楽器のソロが聴けるので比較しやすいと思います。


 

DECCA SOUND

 

MY CD

 
いかがでしたか?最初のDECCA SOUNDで冒頭のトランペットのファンファーレを聴いた時は、別に悪くないと思ったかと思いますが、次に私のCDのトランペットのファンファーレを聴いた時に違いがはっきり確認できたのではないでしょうか。

DECCAサウンドの特徴は何と言ってもその鮮やかな色彩感にあります。色が濃いんです。それに、特にこの頃の音は、骨格がしっかりしていて彫が深く、立ち上がりが鋭く、それでいて決して硬くない、演奏の持つリアルな荒々しさをストレートに捉えた音なんです。

ただこうして聴き比べてみると、DECCA SOUND の方はハイサンプリングでリマスターしているようで、全体が滑らかではありますよね。それに現代の機械を通ったな、という感じの音ですね。それはそれで、良い感じです。ただ残念なことに、エンジニアが音を整理してしまって、スピーカーの奥の方に並べ替えてしまいました。それと、これは推測ですが、使用した音源の質が悪いように思います。何かノイズが混入している音源を使用しているような気がします。でなければ、リマスタリングの段階で、ノイズ除去など相当弄っているように思います。

現在こうしてDECCA SOUND と呼ばれるようになったのは、往年の名盤があってこそなんですが、その名盤を今風に変えてしまった音をDECCA SOUND とは、ね…. この辺は好き嫌いの問題ではないと思いますけどね。

手放そうかとも思いますが、まあ、昔よくあった音の悪い廉価盤セットだと思えばよいですかね(笑) 持っていないものの方が多いし。でも決してこれは、DECCA SOUND ではないことは、承知しておいた方が良いでしょう。

 

でも、段々、そういうの気にしない人たちばかりの世の中になるんでしょうね。時代の流れ、ですかね…. 
 
 
くわばら、くわばら ………

 

いや、色々偉そうなこといいましたが、でも、もしかしたらこの音がマスターに近い音かもしれませんね。まあ、それだったら良いんですけどね。マスターの音知りませんから・・ ただ、DECCA SOUND の方は音が飛んでこないんですよね。その辺は、やはり担当したエンジニアに原因があるように思うんですが… あ~、本当はどうなんだろ・・ 悩ましいなあ。 

 

何で音が違うんだ…(笑)

 

★PC音源はメインシステムで聴きましょう。

 

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4 Comments

  1. hamaHTR says:

    はじめまして。私も別のDECCAを原盤とするCDで同じような経験をしたので興味深く2つの音源を比較させていただきました。掲載された、2種類のスペイン奇想曲を聴き、そしてその波形分析と周波数特性分析をしました。この音の違いは絶対極性が違うこと、それにほんの少し周波数特性が違うこと(2.5kHz帯域のレベルがDECCA SOUNDのほうは少し低い)です。試しに、DECCA SOUND のほうの絶対極性を逆にして聴いていただければ、印象は近くなるのではないでしょうか。

  2. gutsy says:

    hamaHTRさん、はじめまして。
    絶対極性と周波数特性の違いですか…
    私は全て聴いて判断してますので、そのようにしっかりと数値で確認なさる方を尊敬します。笑
    でも、位相と2.5KHzと聴いて、輪郭の甘さ、立体感のなさ等納得しました。
    マスタリングで位相変えちゃったんですかね…

  3. hamaHTR says:

    gutsyさん、
    実際はどこで変わったか特定するするのはなかなか難しいでしょうね。最近別の事例でやはり逆位相になっていた例がわかったのですが、それはマスタリング後のCDRはOKで市販品の絶対位相が変わっていました。その録音関係者はマスタリング後はCDRで確認しているので、市販品が逆だったことに戸惑っていました(市販品を聴いていなかった。市販品を逆相にするとマスターコピーと同じ印象になったということです)。つまり、その例ではプレスまでの工程で変わっていたと考えて良いと思います。もちろん、このDECCAはマスタリングの時点ですでに逆相になっていた可能性もありますがわかりません。(今回の2つの音源は、音が出始めるまでの時間も変わっていました。つまり、完全なコピーではなかったです。しかし、マスタリングといっても、デジタル処理をするでしょうから、アナログのように2,3ピンが逆のことは無いでしょう。??)

     今回の例では、比較する音源がありましたので、特性を確認できました。しかし、ふつうは、私も聴感に頼るしかありません。極性を反転しながら確認していくと、昨日だけで20枚近い反転CDが見つかりました。すべて、一度かけたものの何かが変でそれ以来ほとんど聴いていないものでした。(聴くCDがふえました…笑)

     この問題を確認しやすいスピーカは、当然ながら構成スピーカユニットがすべて+接続されているスピーカシステムでしょう。そういう意味で、モニタースピーカは、全てのユニットが+接続であるべきだと思います。

     gutsyさん、もし方法があれば、今回確認したデーターをお送りすることができます。

  4. gutsy says:

    hamaHTRさん

    返信、返信していくと、見えなくなってしまうので。笑

    お返事遅くなりました。
    貴重なお話ありがとうございます。本当に興味深いです。
    録音現場でもマスタリング後はCDRで確認しているんですね。
    私も今回の音源をスピーカーの+、-を逆にして(と言う方法でもいいんですよね?)聴いてみましたら、確かに雰囲気は似てましたね。まあ、勿論全く同じではなく、他に何か相当弄っている印象ですが、なるほどです。
    プレスで間違えて逆相にするんですかね?怖い話ですね…
    今回の「DECCA SOUND」の音は、まさかとは思いますが、往年のデッカのレコードなんか聴いたこともないようなエンジニアが自分の思うクラシックサウンドを勝手に作っちゃった、のではないかと思っています。それほど別物。
    以前やっていたブログのコメントは非公開投稿できますので、そちらにメール等hamaHTRさんのご連絡先をお送りくだされば、ご連絡いたしますので、そのアドレスにデータ等お送りくださると大変ありがたいです。
    La sUcala

    よろしくお願いします。

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