Archive for March 17th, 2012

名演だけど、そろそろ卒業か・・ミュンシュ&フランス国立放送《ベートーヴェン交響曲第7番》1963ライブ

今日から3回くらいシャルル・ミュンシュを聴きます。 まず初めは1963年のパリでのライブで、ベートーヴェンの交響曲第7番。 ミュンシュはレパートリーも広く、RCAのリヴィング・ステレオの音の良さもあって、比較的多く所有している指揮者で、その演奏も常に全力投球なところが好きです。 今日聴くベートーヴェンも非常に熱く、ライブということもあり終始テンションの高いミュンシュらしい好演ですが、どうしたことか、演奏の盛り上がりのわりには聴いた後の満足度が低いんですよね・・ 基本的には私の好きなタイプの演奏であることは変わりないのですが、どうしたんでしょう・・ ミュンシュが何故凄いか。何故、名指揮者といわれているか。 個人的にはそれは、ミュンシュがオーケストラを鳴らしきる指揮者であるからだと思っています。 もともと、フルトヴェングラーくらいまでの指揮者の評価の一つに、オーケストラを如何に大きく鳴らせるかということもありました。勿論、ただ大きく鳴らせばよいと言うことではなく、それでいて音楽として成立させるのは、なかなかできるものではなくて、各楽器のバランス、奏法、タイミング等全てが揃わないとオケは響きません。カラヤンだって、ベルリンフィルの指揮者になった当初は、往年のベルリンフィル・ファンからは音が小さいと不評だったそうですから。笑 その点、彼より17歳年上のミュンシュは違います。鳴らしきっています。経歴を見ると、1926年にライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団で、フルトヴェングラーやブルーノ・ワルターのもと、コンサートマスターをやっていますからね、なるほど、納得です。 ここに聴くベートーヴェンも、そういう意味で、ミュンシュの音楽ですし納得の名演です。 ・・・・そう 名演、なんですけどね・・ リッピングドライブ:PHILIPS CDD3610/85 リッピングソフト:POIKOSOFT Easy CD-DA Extractor PC : Windows XP Pro Core 2 Quad Q6600 2.40GHz AVI作成ソフト:AVIMAKER FLVへのエンコーダソフト:MediaCoder 音声はMP3 【ベートーヴェン/交響曲第7番イ長調 作品92】 シャルル・ミュンシュ(指揮) フランス国立放送管弦楽団 1963年12月20日、パリ 【収録】 1.第1楽章: Poco Sostenuto-vivace 2.第2楽章 : Allegretto 3.第3楽章: Presto-assai Meno Presto 4.第4楽章: Allegro Con Brio   多分、ミュンシュを好きでない方は百も承知といいますか、だから嫌いなの、とおっしゃるでしょうが、ミュンシュの演奏は常にテンションが高く熱い演奏が良いのですが、ただ本当に文字通り、”常に高いテンション”で、それが4楽章とも常に同じため、陰影の足らない、深みのない、平坦な音楽にしてしまっています。 これは楽章間のことだけではなく、聴いているとどうもフレーズの末端の伸びがもう一歩足らず、それが何かしら拙速な感じに繋がっています。オーケストラとしての呼吸が浅いというか・・ ベートーヴェンのこの7番には激しい中にも牧歌的なやさしいメロディーが散らばっていて、そこがベートーヴェンであり、この7番だと思っていますが、今日聴いたミュンシュではそういったこと全て一括りで処理されてしまっています。これではこの曲の魅力が半減してしまいますよね。速いテンポの中でも伸びやかな表現は出来ますが、そういった細やかさがここでの演奏には足りません。それがミュンシュだ、と言われればそうかもしれませんが、まあ、薄々分かってはいたものの、年をとってくるとその辺の許容ができなくなってきたんでしょうかね。笑 そういう意味で、そろそろこの手のベートーヴェン演奏を追っかけるのは卒業かな、と。 […]

Saturday, March 17th, 2012